□ 安芸高田市で初の「国際夏祭り」
大盛況 外国人 22ヵ国百数十名も
「ホーザ・ジ・ヒロシマ」のサンバ |
各国の民族衣装に囲まれて--- |
満員の客席 |
地域の住民が人種や民族を越えて共生しようと、初の「国際夏祭り」が8月22日(日)、安芸高田市で開かれました。折からの炎天にもかかわらず2000人近い人たちが市の内外から訪れ、大盛況でした。
「あきたかた国際夏祭り2010」と銘打ったこのイベントは安芸高田市内の商工会、JAなど諸団体や広島韓国商工会議所、広島県日韓親善協会など市外の関係者で組織する実行委員会の主催。実行委員長は安芸高田市体育協会の吉田 修会長、名誉会長は浜田一義市長、顧問団長は八千代病院の姜仁秀理事長がつとめました。
安芸高田市は中山間地特有の人口減少の悩みをかかえています。一方で市内の会社や事業所で働く外国人は増加の一途をたどり、現在、在住外国人は16ヵ国560人に上っています。こうしたことから、浜田市長は「将来の街造りには外国人の参加が欠かせない」と「多文化共生」を市政の基本理念に掲げ、この4月、市に「人権・多文化共生推進室」を設けました。
同市の八千代町で創業し、医療・介護事業を展開している八千代病院の姜仁秀理事長も在日韓国人2世として、かねてから「多文化共生」を唱えてきましたが、これを機に各界のリーダーや国際交流団体、ボランティア団体などに呼び掛けて、初のイベントを開くことにしました。
「国際夏祭り」は市文化会館「クリスタルアージョ」と市役所前広場の二か所で同時並行で行われました。
<屋内会場>
お国ぶり豊か 歌・踊り・伝統芸能
クリスタルアージョには開演2時間前の午前8時半には数十人の市民が詰めかけ、観客はほぼ満席の700人。午前10時30分、吉田実行委員長のあいさつで始まり、浜田市長が開会を宣言しました。
第一部は「芸術文化のお国自慢」。広島市在住のフィリッピン人女性ベベさんの歌、朝鮮歌舞団の歌と踊り、中国の伝統楽器・二胡の演奏、同じ中国の気孔愛好者による法輪功の演舞と続きました。
また、地元甲田町の大土山こども田楽団は韓国の農楽・サムルノリのグループ「ハンソリ」と共演。初の日韓農楽コラボが実現しました。
午後からはブラジル勢の出演でサンバ、教会音楽、福山市のグループによるパントマイムのパーフォーマンスがあり、会場を楽しませました。
第二部は「国際カラオケ大会」。市内在住のアメリカ、ロシア、ブラジル、中国、韓国などの「のど自慢」が自国の歌や馴染みの歌を、タイとインドネシアのヤンググループは民俗服に身をつつんで踊りを披露しました。特にタイからやってきて安芸高田市の自動車部品工場で働いている女性たちの民族舞踊は人気で、舞台裏では観客との記念撮影に大忙しでした。
第三部は「多文化をともに生きる」と題して、地元・美土里町の桑田天使神楽団が、お馴染み「天の岩戸」にちなんだ神楽「岩戸」を熱演。このあと広島在住のテノール歌手・金男水さんが民団西支部の女性コーラスとともに、お得意の歌曲や「千の風になって」を歌い、続いて地元の吉田幼稚園の園児たちが浴衣や各国の衣裳で登場、可愛い踊りが会場を和ませました。
フィナーレは東広島市のJICAで研修中の13カ国20名を含め外国人参加者がそれぞれ国旗を手に民俗服でステージへ。姜仁秀顧問団長が「まちおこしにはワカ者・バカ者・ヨソ者が大事。ヨソ者の外国人と地域で共生しよう」と呼びかけ、「上を向いて歩こう」の合唱とともに幕をとじました。
ステージとしては異例の6時間半におよぶ長丁場でしたが、主催者からのメッセージはお届けできたでしょうか。
<国際屋台>
お国自慢 各国料理が大人気
市役所前の駐車場は国際屋台村に早変わり。商工会などの協力で前日から8つのブースが設けられ韓国・タイ・モンゴル・インド・ブラジルなど6カ国の食を振舞いました。
地元の商工会も出店し炎天下、鉄板の暑さとも闘いながら汗まみれで呼び込み合戦を繰り広げました。韓国コーナーでは韓国風お好み焼き、チヂミやキムチチャーハン、中国は水餃子やゴマ団子、インドはナンやナンカレー、ブラジルのブースではヤシの実パイといったように国を代表する食が人気でした。
屋内での公演を終えた韓国のサムルノリのスタッフが屋台村を練り歩き景気付けをする場面もあり、地元の出店を含めほとんどのブースで予定していた食を完売しました。
「来年はもっと仕入れの量を増やさないと」。出店したボランティアの人たちはしたたる汗を拭いながらも満足げでした。
炎天下 賑わう国際屋台 |
韓国人学生と--- |
インド料理 ナン、ナンカレーが好評 |
写真提供: 八千代病院グループ 広島県日韓親善協会 山崎頼久さん |
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韓国西支部出店の |
「国際屋台」は盛況のうちに閉店 |
<ご報告とお礼> 今回のイベントはその趣旨に賛同された出演者、スタッフの皆様に全てボランティアでご協力いただきました。それでもなお必要な経費につきましては、八千代病院グループの全面的なご支援をいただきましたほか、市内外の企業・団体・個人から幅広く協賛を賜りました。安芸高田市職員の応援も受けました。 このような多数の皆様のご協力のお蔭をもちまして、当初の予定どおり無料企画として市民に開放し、多くの方々に異文化に触れていただくことができました。 中国地方でも恐らくはじめてのこのイベントをマスコミも大きく報道し、特に朝日新聞は翌8月23日付広島版で5段、NHKは同じ23日に約5分の特集として放送しました。 ここにご報告いたしますとともに、改めてお礼を申し上げます。 2010年9月2日 あきたかた国際夏祭り2010実行委員会事務局長 (広島県日韓親善協会専務理事) 玉木 実 |